お金と人事のコンサルティング岩田事務所
〜会社の成長と社員の幸せの両立〜

給与支払日の変更は違法?注意点と正しい3つの手順

労務管理

LINEで送る
Pocket

毎日ブログ生活3786日目

 

 

 

今日は5時間に及ぶ

オンライン研修を受けました。

 

 

 

この話はまた機会があれば。

 

 

 


 

 

 

閑話休題

 

 

 

給与計算で、

「締め日支払日を変えたい」

というケースがあると思います。

 

 

 

「締め日支払日を変えたい」理由は、

「給与計算するための時間が足りない」とか

「銀行の都合」などが多いです。

 

 

 

古い会社の場合、例えば

「月末締めの当月末日払い」

のような残業代や欠勤控除を

計算不可能な設定をしている

ケースがあります。

 

 

 

こうしたケースで、

締め日の変更、

あるいは支払日の変更で、

 

残業代や欠勤控除を

計算する時間を確保し、

 

銀行が忙しい時期を避けたい

ということがあります。

 

 

 

今日は

「月末締めの当月末日払い」の会社で

支払日を後ろ倒しにし、

「月末締めの翌月15日払い」に変更する

という具体的なケースを考えながら、

 

給与計算の締め日支払日の変更について

考えていきたいと思います。

 

 

 

考えなければならない

着眼点としては

以下の点が考えられます。

 

 

 

1.労働基準法24条

2.労働条件の不利益変更

3.労働者の生活への影響

 

 

 

 

1.労働基準法24条

 

 

労働基準法24条には

俗に「給与支払いの5原則」

と呼ばれる項目が書かれています。

 

 

 

賃金は

1.通貨で

2.直接労働者に

3.全額を

4.毎月1回以上

5.一定の期日を定めて

支払わなければならない

 

となっています。

 

 

 

 

締め日支払日の変更で

問題になりえるのは

 

4.毎月1回以上

5.一定の期日を定めて

 

という部分です。

 

 

 

まず、

5.一定の期日を定めて

に関しては、

 

例えば「毎月月末日」とか、

「毎月25日」とか、

具体的に日にちを決めないといけない

という話です。

 

 

 

今回、「毎月月末」を

「翌月15日払い」に変更するので、

 

「一定の期日」が変更され、

法律に抵触するのではないか

ということが考えられます。

 

 

 

これに関しては、

一定の条件を満たす場合には、

適法と解されるとされています。

 

 

 

国が発行している法律の逐条解説である

「労働基準法コンメンタール」

(令和3年版・厚生労働省労働基準局編)の

368頁後ろから5行目に以下の文章が記載されています。

 

 

なお、賃金の支払日は、

本条第2項の毎月払いの原則

又は労働協約に反しない限り、

 

労働協約又は就業規則

によって自由に定め、

又は変更し得るものであるから、

 

使用者が事前に

第90条の手続きに従って

就業規則を変更する限り

支払期日が変更されても

本条違反とはならない。

 

 

 

で、ここで問題になるのは

 

本条第2項の毎月払いの原則

(略)に反しない限り、

 

という部分です。

 

 

 

つまり、前述の

4.毎月1回以上

に抵触しない限り

ということです。

 

 

 

仮に2026年4月分の給与から

「末日払い」を「翌月15日払い」

に変えようとすると、

 

2026年3月末締切分→2026年3月31日払

2026年4月末締切分→2026年5月15日払

 

となってしまうため、

2026年4月の支払いが

無くなってしまいます。

 

 

 

これが「毎月払いの原則」

に触れることになります。

(つまり、法違反となる。)

 

 

 

では、どうすればいいのかというと、

2か月かけて締め日支払日を変えていきます。

 

 

具体的には、

一旦締め日支払日を当月15日に変更した上で、

その翌月から月末締め翌月15日に変更します。

 

 

 

先ほどの例でいうと、

 

2026年3月末締切分→2026年3月31日払

2026年4月15日締切分→2026年4月15日払(半月分支給)

2026年4月末締切分→2026年5月15日払

 

となります。

 

 

 

こうすると、

毎月払いの原則に関しては

クリアすることになります。

 

 

 

2.労働条件の不利益変更

 

 

 

「月末締めの当月末日払い」を

「月末締めの翌月15日払い」に変更する

ということは、

 

給与の支払いが

現在より15日遅くなることを意味しています。

 

 

これは、労働者にとっては

労働条件の不利な変更になります。

 

 

これを、

「労働条件の不利益変更」と言います。

 

 

労働条件の不利益変更に関しては、

労働契約法に記載があります。

 

 

(労働契約の内容の変更)
第八条 労働者及び使用者は、

その合意により

労働契約の内容である

労働条件を変更することができる

 

(就業規則による労働契約の内容の変更)
第九条 使用者は、労働者と合意することなく

就業規則を変更することにより

労働者の不利益に労働契約の内容である

労働条件を変更することはできない

ただし、次条の場合は、この限りでない。

 

第十条 使用者が就業規則の変更により

労働条件を変更する場合において、

 

変更後の就業規則を労働者に周知させ、

 

かつ、就業規則の変更が、

労働者の受ける不利益の程度、

労働条件の変更の必要性、

変更後の就業規則の内容の相当性、

労働組合等との交渉の状況

その他の就業規則の変更に係る事情

に照らして合理的なものであるときは、

 

労働契約の内容である労働条件は、

当該変更後の就業規則に定める

ところによるものとする。

 

ただし、労働契約において、

労働者及び使用者が就業規則の変更によっては

変更されない労働条件として合意していた部分については、

第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

 

 

要するに

1.労働条件は合意すれば変更できる。

2.就業規則変更で労働条件を変更する場合は、一定の条件を満たせば一方的に変更可能

ということが書かれています。

 

 

 

つまり、就業規則の変更によって

不利益変更を行う場合でも、

「合理性」が認められることが必要です。

 

状況によっては無効と

判断される可能性もあります。

 

 

 

法律上、

契約変更は口約束でも可能ですが、

その後揉めたときには文書が無いと

会社が不利になります。

 

 

 

ですから、トラブル防止の観点から、

合意内容は書面で残しておくことが望ましいです。

 

 

 

また、仮に就業規則変更で

不利益変更する場合でも、

 

できるかぎり個別に不利益変更

に対する同意書を取りたいです。

 

 

 

近年の判例では、

就業規則の変更による不利益変更が

認められない傾向にあります。

 

 

 

ですから、人数が少ない

零細企業であれば、

個別合意を取っておいた方が良いです。

 

 

 

 

そして、合意してもらうために、

不利益変更分に関して

何らかの見返りを出すことを

検討したいところです。

 

 

 

具体的には、

 

2026年3月末締切分→2026年3月31日払

2026年4月15日締切分→2026年4月15日払(半月分支給)

2026年4月末締切分→2026年5月15日払

 

の例だと、

4月15日から5月15日までの

1か月を半月分の給料で暮らす必要があります。

 

 

 

もし、財務的に可能であれば、

4月15日支払給与を、

半月分支給ではなく、

後ろ倒しになる分の見返りとして

1か月分払うわけです。

 

 

 

つまり、半月分ボーナスを

出すような形になります。

 

 

 

15日しか働いていないけれども

1か月分支給します。

 

 

 

こうした保証も含めて

不利益変更の合意文書を作成して、

不利益に関して認めてもらい、

代わりに保証を出します。

 

 

 

これが次の項目の

「労働者の生活への影響」

の1つ目となります。

 

 

 

3.労働者の生活への影響

 

 

 

労働者の生活への影響の

一番大きな部分は前述の

「半月分の給料が遅くなる」

という点です。

 

 

この部分に関してはすでに記述しました。

 

 

 

実は、給与の支払日を後ろ倒しすると、

もう1つ生活に影響が出る可能性があります。

 

 

 

それは、

「源泉徴収票上の給与の減少」です。

 

 

 

仮に、前述の給与補填が

何もなかった場合、

 

その年の源泉徴収票額は

どうなるでしょう。

 

 

 

半月給与の支払いが遅れるため、

源泉徴収票上の給与が

前年より低くなる可能性があります。

 

 

 

この額が減ると困るのは、

対象となる従業員が

住宅ローンを組みたい場合です。

 

 

 

住宅ローンは基本的に

直近3年分の源泉徴収票を基に

ローンが組めるかどうか、

いくらまでのローンが組めるか

が決まります。

 

 

 

源泉徴収票上の給与額が減る

ということは、

住宅ローンで借りられる額が減る、

最悪の場合は借りられなくなる

ということが起こり得ます。

 

 

 

これは、労働者の生活に

著しい損害をもたらす

可能性があります。

 

 

 

 

まとめ

 

 

給与計算の支払日を後ろ倒しに変更する場合は、

 

1.給与払い5原則に抵触しないかどうかを確認し

2.就業規則を変更しつつ、不利益変更部分に関して書面で個別に合意書を締結し

3.不利益部分に対して保証を検討する

 

ことが大切です。

 

 

 

現在、給与計算は複雑さを増しているので、

締め日から支払日までは最低10日、

できたら15日以上の猶予が欲しいところです。

 

 

 

給与計算を外注するにしても、

10~15日ぐらいの猶予が無ければ

外注先も受けることができません。

 

 

 

法律を守り、従業員の生活を保証しつつ、

会社にとっても都合の良い

締め日支払日に変更していきましょう。

 

 

 

それではまた明日~

 

 

 


ブログランキングに参加しています☆
是非↓を2つクリックご協力お願いします!

 

 

にほんブログ村 経営ブログ 人事労務・総務へ

 

いつもクリックありがとうございますm(_ _)m
クリックの応援を励みにこれからもがんばります。


お断り

事例を紹介する場合は、わかりやすさを優先し、また営業秘密の漏洩を 防止する観点からも、内容に一部改変を 加えている場合があります。

 

同様に、分かり易さを優先するために、 あえて正確な法律用語を用いていない場合があります。

 

LINEで送る
Pocket

脱☆ドンブリ経営
実践セミナー開催!!

「経営の主導権を自分で握りたい社長」や、「根拠のある数字目標を立てたい経営者の方」必見のセミナーです!
脱☆ドンブリ経営実践セミナーとは? セミナー開催日程・お申し込み

岩田事務所お問い合わせ

職業 お金と人事のコンサルティング
住所 〒482-0036
愛知県岩倉市西市町無量寺58-1
営業時間 平日9:00~18:00
ホームページ iwata-office.jp

コメントを残す

           

名前 岩田 健一
住まい 愛知県

Profile

会社の成長と社員の幸せの両方を大切にしたい社長に、 元信用金庫職員、元調剤薬局経理職のキャッシュフローコーチとして お金と人事のコンサルティングで 一流の誠実さを目指しながら
笑顔あふれるつながり作り、会社づくりに貢献する リレーションシップパートナーの岩田健一です。

お金と人事のコンサルティング 岩田事務所 所長

心理学科卒業、 元信用金庫職員、 前調剤薬局経理職の 社会保険労務士資格をもつ 「お金」と「人事」の 経営コンサルタント。

想いの言語化と 経営数字の見える化の コンサルティングを行なう。

プロフィールを読む            
search envelope heart star user close search-plus home clock update edit share-square chevron-left chevron-right leaf exclamation-triangle calendar comment thumb-tack link navicon aside angle-double-up angle-double-down angle-up angle-down star-half status image gallery music video category tag chat quote googleplus facebook instagram twitter rss