お金と人事のコンサルティング岩田事務所
〜会社の成長と社員の幸せの両立〜

休職と休日、休暇、休業の違い。および休職運用の注意点

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毎日ブログ生活3242日目

 

 

 

昨日はある経営者と話す機会があり

新たなビジネスにつながる話をしました。

 

 

実現にはかなりのハードルがありますが、

面白そうなので乗ってみようと思っています。

 

 

 


 

 

 

閑話休題

 

 

 

先日、ある経営者が

休職と休業を混同していました。

 

 

 

病気で休んでいる人を「休業」させる

という話をしていたのですが、

それはおそらく「休職」が正しいです。

 

 

 

これらの用語はプロにしか

違いが分からないと思います。

 

 

 

間違っていてもそれが

むしろ当たり前です。

 

 

 

ですから、気にする必要はありません^^

 

 

そのために我々専門家がいるのですから^^

 

 

 

さて、せっかくなので、

休職と休業の違いについて

確認した上で、

 

休職の注意点について

書いてみたいと思います。

 

 

 

 

まず、他にも

休日や休暇というものがあります。

 

 

 

休日はそもそも

「労働義務がない日」

のことを言います。

 

 

 

労働契約上、

初めから休みとされている日ですね。

 

 

 

次に、休暇とは、

「労働義務があるけれども、

労働義務を免除した日」です。

 

 

 

年次有給休暇はこれに該当します。

 

 

 

本来であれば、

労働義務があるけれども、

その義務を免除することによって

休みになります。

 

 

 

だから、そもそも労働義務がない日に

年次有給休暇を取ることはできないのです。

 

 

 

年次有給休暇以外の休暇に関しては

無給で構いません。

 

 

 

労働基準法には

「ノーワークノーペイの原則」

と言うのがあります。

 

 

 

働かない人には

払わなくてもいい

という原則です。

 

 

 

労働義務は免除するけれども

その代わり賃金は払わないよ

ということです。

 

 

 

この原則に反して

支払が必要なものは

労働基準法に明記されています。

 

 

 

年次有給休暇に対する賃金や、

後述する休業手当などが

それに該当します。

 

 

 

ちなみに、欠勤は

「労働義務がある日に

義務に反して休んだ日」

となります。

 

 

 

つまり、労働者の

債務不履行となります。

 

 

 

労働者が義務を果たしていないので、

賃金を支払う義務も当然無くなります。

 

 

 

しかも、約束違反なので

解雇事由になる可能性もあります。

 

(裁判所は能力不足には寛容だが

勤怠不良には厳しい)

 

 

 

そして本題の

休業というのは、

「労働義務がある日に関して、

労働日としたまま労働者を

就業させない日」です。

 

 

 

例えば急な発注停止の為

工場の生産を止めなければないような場合や

労働災害で労働者がけがをして働けなくなった場合、

 

震災やコロナ禍でやむを得ず

会社を休業にせざるを得ないような場合です。

 

 

 

前者のような会社に責任がある休業を

「使用者の責に帰すべき事由による休業」と言い、

 

後者のような会社に責任がない不可抗力による休業と

区別しています。

 

 

 

「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合、

会社は、休業期間中にその労働者に、

平均賃金の100分の60以上の手当

を支払わなければなりません。

 

 

 

この手当を「休業手当」と言います。

 

 

 

天災などの不可抗力による休業の場合は

この支払いを免れることができます。

(基本的には支払いを免れることができるのは

極めて少ないケースだと思ってください。)

 

 

 

ちなみに、育児休業・介護休業は、

休業と名前がついていますが、

実際には休暇に近い考え方のものです。

 

 

 

以上のように、休日、休暇、休業

と言うのは言葉は似ていても、

法律上は全然違う言葉です。

 

 

 

 

そして、本題の休職ですが、

これは人事権の一種で、

 

基本的には休職「命令」

を発出することによって

 

強制的に労働者を休ませるもの

となります。

 

 

 

休職の意味は、

「解雇猶予」です。

 

 

 

本当であれば解雇になるケースにおいて、

解雇を一定期間猶予しますよ

というのが「休職」の意味するところです。

 

 

 

例えば、私傷病により

会社を長期間休む場合、

 

労働契約の債務の本旨に従った

完全な労務の提供ができない

 

と言うことになります。

 

 

 

ですから、労働契約上は

「約束違反」の状態です。

 

 

 

約束違反の状態が続くのであれば、

解雇(一方的に会社を辞めさせること)するのが

契約の趣旨からしたら当然です。

 

 

 

しかし、それでは

あまりにも可哀相だから、

一定期間は解雇を猶予するよ

というのが「休職」です。

 

 

 

ですから、解雇しない代わりに

「休職命令」を発出し、

人事権の行使として

強制的に休ませるわけです。

 

 

 

「休職期間中に治療に専念して、

完全に働ける状態で復職してくださいね」

というのが休職の主旨となります。

 

 

 

裏を返せば、

「休職期間中にちゃんと

回復しなければ辞めてくださいね」

というニュアンスが含まれています。

 

 

 

ですから、休職期間満了時に

復職できなければ「自然退職」となる

規定になっているのが一般的です。

 

 

 

「自然退職」というのは

一方的に辞めさせる「解雇」とは違い、

合意退職に近いニュアンスになります。

 

 

 

「事前に決められたルールに従って

契約上当然に退職になる」

という意味ですので、

解雇と違って争いの余地が残りません。

 

 

 

そうそう肝心なことを言い忘れていましたが、

就業規則に休職に関して明記されていなければ

休職「命令」を発出することはできません。

 

 

 

人事権として行使することができないのです。

 

 

 

休職を制度として作る場合には

必ず就業規則への記載が必要です。

 

 

 

では、就業規則がない、または

就業規則に休職の記載がない場合は

どうするのかというと、

 

会社と該当従業員の「合意」があれば、

休職させることが可能だと私は考えています。

 

 

 

私人間の法律関係を規定した民法には

「契約自由の原則」があります。

 

 

 

「私人間同士が自由意思に反せず

結んだ契約(約束事)はどんな契約も有効である」

というのが「契約自由の原則」です。

 

(「契約自由の原則」を修正するのが

労働基準法などの法律です。)

 

 

 

ですから、休職に関して

「命令」ではなく、

「合意」であれば、

可能だと私は考えています。

 

 

 

この合意に関して、

 

「休職期間満了時に復職できなければ、

『自然退職』ですよ」

 

ということをきちんと説明しておくことが

一番大切です。

 

 

 

「退職」の可能性があることを

きちんと認知した上で

合意文書に署名してもらわないと、

合意自体が無効になる可能性があります。

 

 

 

もし、合意されないとしたら、

三択かなと思っています。

 

1.今すぐ解雇

2.今すぐ退職勧奨(合意されないでしょうから成立しないと思いますが)

3.本来休職にするつもりだった期間を経過したら解雇

 

 

 

だって休職は「解雇猶予」ですから、

「猶予します」と言っているのに

猶予を拒否されたら

 

基本的には辞めていただく方向になる

と私は考えています。

 

 

 

もし解雇するとしても、

解雇回避努力が必要ですので、

 

その辺りは粘り強く誠実に

本人と交渉することは

最低限必要だと思います。

 

 

 

 

それではまた明日~

 

 

 


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名前 岩田 健一
住まい 愛知県

Profile

会社の成長と社員の幸せの両方を大切にしたい社長に、 元信用金庫職員、元調剤薬局経理職のキャッシュフローコーチとして お金と人事のコンサルティングで 一流の誠実さを目指しながら
笑顔あふれるつながり作り、会社づくりに貢献する リレーションシップパートナーの岩田健一です。

お金と人事のコンサルティング 岩田事務所 所長

心理学科卒業、 元信用金庫職員、 前調剤薬局経理職の 社会保険労務士資格をもつ 「お金」と「人事」の 経営コンサルタント。

想いの言語化と 経営数字の見える化の コンサルティングを行なう。

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